関係者インタビュー

聞いてみよう!

木の家具のこと、森林のこと。

高島の地で代々、木を扱う建具と製材のプロとして活躍されている有限会社石倉建具の石倉さんと岡本木材株式会社の岡本さん。
「森の学校チェア」キットの制作に携わってくれているおふたりに、木の家具の魅力や高島の森との関わりについてお話いただきました。

※この関係者インタビューでは「あすの森づくりの家具」第1号の製品「森の学校チェア」キットの制作に携わっていただいた石倉氏、岡本氏へのインタビューを中心に掲載しています。
「森の学校チェア」キット以降の家具は当事業責任者の加賀田が企画デザイン、設計制作しています。使用している木材については岡本氏や石倉氏の協力を得て高島市産の針葉樹から製材した木材を使用しています。

石倉さんに聞きました!

「森の学校チェア」を製造いただいた石倉建具の石倉さんへインタビューしました。

石倉建具 石倉さん

「森の学校チェア」の素材になっている、スギとヒノキの特徴を教えてください。

これらの針葉樹は住宅の構造材や仕上げ材、建具材としても広く使われています。スギは肌ざわりがやさしくて良い香り。ヒノキは耐久性・強度に優れ独特の光沢と香りがありますよ。

木の家具づくりで工夫していることは?

なるべく木の特徴が出るように仕上げます。たとえば針葉樹なら柾目(まさめ)か板目(いため)か、節(ふし)のあるところなど、つくりたい製品のイメージに合わせて使います。

広葉樹で家具をつくるなら?

反りの出ないような組み方にしますし、虫が穴をあけていることが多いので、それが見えないように材をとったり、時には模様として使ったりすることもできます。
クリの木はタンニンという成分を多く含み刃物などに触れると黒くなってしまうのでペーパーで仕上げる工夫が必要。木の種類によって特徴があるので面白いですよ。

 

木の家具の良さはどんな点でしょう?

一番大事なのは、木のぬくもりを感じてもらえること。だから手ざわりを大切にして仕上げます。

森の学校チェアも木の風合いを楽しめるのは、建具師さんならではの技ですね。

仕上げにペーパーを使わず、カンナで表面を仕上げているんですよ。塗装しなくても水をはじくほどなめらかだから、そのまま使ってもらえます。

これまでにも高島産の木でつくられた製品はありますか?

家業の住宅建具は輸入材が多いですが、寺社仏閣などの建具には地桧(ジビ、高島産のヒノキなど)も使いますよ。「高島の木の家づくりネットワーク」では高島のスギ材で壁や天井に使う羽目板をつくり、それを地元工務店や設計士さんが内装材や床板として活用してくれています。
高島市の森林所有者や木材生産者、製材業者、設計事務所、工務店、建具店などがメンバーとなって森づくりや家づくりに関わる推進事業。

地域活動にも意欲的な石倉さん、最後に高島の木の魅力を!

高島市は陸地面積の約72パーセントが森林。昔から良質な天然杉の産地として、京都の寺社仏閣など多くの建物に使われてきました。アシウスギという、滋賀県一優れた品種も自生しているんですよ。
戦後の拡大造林期に植栽されたスギやヒノキの人工林は50年以上が経って成熟し、これからが主伐期(木材資源として本格的に利用される時期)なので、どんどん活用してもらいたいです。

石倉和幸さん(有限会社 石倉建具)


木の建具を製造・販売する有限会社石倉健具の2代目。住宅の和室などにしつらえる純和風のつくり付け家具をはじめ、店舗の工事や唐櫃の製造なども手がける。
「高島の木の家づくりネットワーク」の住宅設計や勉強会に参加するほか、高島の魅力を伝えようと商工会青年部・青年会議所の有志と実行委員を立ち上げ、市内を自転車で走るイベントなどを企画・開催。

岡本さんに聞きました!

「森の学校チェア」に使用した高島市産杉材・ひのき材を製材いただいた岡本木材の岡本さんへインタビューしました。

岡本木材 岡本さん

高島の林業について教えてください。

県内では大まかに、南はヒノキ、北はスギが育ち、朽木(くつき)は地形的にスギが多いと聞いています。昔からの話をすると、朽木の材木は筏流しの歴史があって、安全を守るために流域のあちこちにシコブチ神社が残っています。全国的にも珍しく、歴史ある林業地なので誇りを持って仕事ができます。

この製材所も歴史がありそうです。

そもそも山仕事をしていた祖父が、以前にも製材所があったという今の場所を引き継いで創業したのが始まりです。60年近く前の昭和の時代から、今も現役で動いている機械もありますよ。

製材のときに工夫しているいることは?

大切なのは木の固さによってスピードを変えることです。同じ1本でも節や細いところがあれば折れてしまう。この木ならどれぐらいとれるか建具屋さんと話し合うこともあります。
お互いの信用、信頼関係がなくてはできません。

森林の木が家具材として使えるようになるにはどのくらいかかるのでしょう?

例えばスギであれば50~60年以上かけて育ったものを製材し、風を通して乾燥させるのに最低でも1~2年かかります。そこからさらに注文の寸法に製材し直してから、納品します。

すごい量の材木がありますが、それぞれの特徴は?

スギは基本的にやわらかいですが、育った場所で質感が変わります。コナラやケヤキは硬くて強度があります。県内市場のびわ湖材でクリの木はそれほど出回りませんが、重すぎず、加工しやすく、色や香りもおもしろい。
自然をいかすなら、ナラ枯れや虫食いなどもデザインにできるといいですね。

地域のプロジェクトやイベントにも関わっていますか?

今年(2022年)の植樹祭では、びわ湖材のベンチを作らせてもらいましたし、木の魅力を伝えるために市や大学との共同プロジェクト、子どもを対象にした体験イベントにも携わっています。枠に固定しながらスプーンを彫ることができるハンの木のキット、低い音からケヤキ→クリ→ホウ→スギの順に並べてつくる楽器、木がもつ自然の色をカラフルに並べたサンプルもつくりました。

「森の学校チェア」もそうですが、木のぬくもりが伝わってくるものばかりです。

地元の方が思い入れをもって製品化してくれるのはありがたいですね。木がもつ魅力はそれぞれですから、色や香りや手ざわりを、五感で楽しんでもらえるとうれしいです。

岡本顕典さん(岡本木材株式会社)


高島市で木材・建材を販売する岡本木材株式会社。祖父・父から家業を学びながら約20年「木材は知れば知るほど面白い」という3代目の岡本さん。
買い付けは県産のびわ湖材だけでなく他県の市場へも足を運んであらゆる木材を仕入れていて、製材所にはアーティストが掘り出し物を探しに訪れることもあるそう。
「高島の木の家づくりネットワーク」メンバー。

石倉さん、岡本さんは木に対する豊富な知識や高島の木への深い愛情があります。
そんなお二人に力を頂きながら滋賀県高島市のびわ湖材の良さを知っていただける製品を皆さんにお届けできるように頑張っていきます。

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